「『我山』、語感の響き良し。」
第4回 藤井憲之/現代陶芸家
日本の伝統的な焼き物といえば、「酒杯」が想起されます。
古くは古墳時代の遺跡からも、数多く出土。
神事や祭事にあたって、重要な役目を担っていました。
1000 年の歴史を持つ陶器の街、愛知県・瀬戸の地に、
窯を開いて35 年。以来何万点という焼き物を創作して来ました。
1300 度という高温で長時間焼き上げるため、
窯のある室内は常に45~6 度に達します。
こうした日常の作業を終え、熱を帯びた体に、
キリッと冷やした「我山」純米大吟醸を頂く。
“五臓六腑に染み渡る” とは、まさしくこの事か。
米の旨味と香りが、鼻孔を刺激し、
心地よい脱力感に包まれる。
「我山」、語感の響きが実に良い名前だと感じます。
陶芸家としての、私のモットーは「日常的な様式美」。
好きな日本酒も、かくありたいと考えます。
今の仕事が一段落ついたら、「我山」という名前の響きを感じさせる、
ぐい呑を一つ、創ろうと思う。
藤井憲之
1955 年 大阪生まれ 1980 年 武蔵野美術大学工芸
工業デザイン科卒業 同陶磁研究室勤務
1987 年 独立 瀬戸にて築窯
日本クラフト展、朝日現代クラフト展、国際陶磁器展美濃、デザインフォーラムせと、伊丹クラフト展、日本陶芸展、入選入賞多数
京都書院刊行” 陶” 東海編に収録掲載、「メッセージ」IN 美濃参加など
その作品は、金沢を代表する日本料理店「なだ万」を始め、フレンチの最高峰「ジョエルロブション」、ミシュラン三ツ星の名古屋、鮨「右江田」など、枚挙にいとまがない。